Saturday, June 5, 2021

第一回 指物師チェリー爺やが子供のように泣き笑う丸太の木を見つけること。

イタリア語の勉強を兼ねて原文<ピノキオの冒険>に挑戦。一日一章、英訳参照で一日1-2時間のペース。冒険ものでしばしば先を読みたくなるのが一日一章に限って読んでいくと子供のころの紙芝居のようにおもしろい。ところどころに<伏線だな>とわかるような伏線が敷かれており、作者がストリーテラーなのがわかる。各章の最後に<この続きは次回のお楽しみ>という口上をつけてもいい。<この続きは次章のお楽しみ>とは言わないので、第一回、第二回、. . . . . とした。読むのは

http://ercoleguidi.altervista.org/pinocchio/pinocchio.htm

を利用。辞書は手もとのCollins Italian-English Dictionary のほか、下記のネット辞書を大いに活用。

主に

https://dictionary.reverso.net

https://www.treccani.it/vocabolario

たまに
https://dizionari.corriere.it/

その他を利用。

これで読むのは一日一章でなんとかなるが(後半の章は長い話が多くニ-三日で一章)日本語への翻訳はそう簡単ではない。すでに日本語訳があると思うが、原文<ピノキオの冒険>のおもしろさ、英訳にはない原文の口調、を日本語にできるだけ移した訳ができれば、と思ってやりはじめた。

Pinocchio はピノォキオでは少し長く、読みにくくなるので、ピノキオ、Geppetto も同じ理由でジェッペットではなく、ジェペットとした。


第一回

むかしあるところに . . . . . . .

- ある王様

とすぐにわが子供の読者たちは続けるかもしれない。

いやちがう。子供たちよ。それはまちがい。あるところに丸太(まるた)の木があったのだ。

特別な木ではなく、ごく普通のまきといっていい。そう、冬に部屋をあたためるズトーブや暖炉(だんろ)にくべるあのまきだ。

何と言ったらいいかわからないが、事実はある日ある年とった指物師(さしものし)の店にこの丸太の木が現れたのだ。この指物師じいさんの名前はアントニーノ親方(おやかた)なのだが、皆はチェリー爺(じい)や(チリエージャ)というあだ名で呼んでいた。というのは鼻がてかてか光っていて、色が赤紫(あかむらさき)で熟したチェリーに似ているからだ。

チェリー爺やはこの丸太の木を見るや、よろこびいさみ、うれしそうに両手をもんで低い声でつぶやいた。 

-これはちょうどよいところにめぐり合わせた。テーブルの足にするのにもってこいだ。

こうつぶやくとさっそく木の皮をはぎ、おおまかな形にするため、よくといだ斧(おの)を手に取った。斧を振り上げて初めのひと振りをしようとしたが、空中で手を止めた。というのは、聞き取れないようなかすかな声だが、お願いするように

-そんなに力を入れて打たないでくれ !

と言うのが聞こえたのだ。

この人のいいチェリー爺やの動きが止まった姿を想像してみなさい。

びっくりした目で、いったい部屋の中のどこから声がするのかとあたりを見まわしたが、だれもいない。

テーブルの上を見たが、だれもいない。 いつもは戸が閉まっている戸棚の中を見たが、だれもいない。木の切りくずやおがくずが入っている樽の中を見たが、だれもいない。店のドアをあけ、外の道の上にも目を遣(や)ったが、だれもいない。ああ?

-あ、わかった。

と笑いながら、そして頭の上のかつらを手でかきながら言った。

-あの声はわしの想像だろう。さあ仕事だ。仕事にもどろう。

そしてふたたび斧を手にとり、振り上げて丸太の木に一発食わした。

-痛い!あんた、わたしになんてひどいことをするんだ。

というかすかだが苦情の叫び声が聞こえた。

チェリー爺や今度は驚きに動きがとまり、さらにはおそろしさに目がとびだし、口はあんぐり、舌はあごまで垂れ下がって、噴水にある奇怪なお面のよう顔になった。

口がきけるようになると、驚きからぶるぶるふるえながらも、もぐもぐしゃべり始めた。 

-<痛い!>と言うあのかすかな声はどこから聞こえてきたのか? ここに生き物はどこにもいない。いったいこの木が泣いたり悲しんだりするものか?わしには信じられん。このまきはここにあるが、暖炉にくべる他のまきと同じだ。火にくべ、なべの中の豆をゆでるまきだ。おお、どうなっているんだ?中に誰かかくれているのか?もしかくれているとしたら、かわいそうだがもうおしまいだ。いまから退治してやる。

こう言って、両手でこの丸太の木をつかみ部屋のあちこちの壁の容赦(ようしゃ)なくたたきつけ始めた。

それから、苦情の叫びのかすかな声がしていないかどうか 耳をすました。一分たった。声はしない。5分たった。。声はしない。10分たった。声はしない。

-わかった。

笑うおうとし、かつらを掻(か)きながら言った。

- あのかすかな声は<痛い>と言ったが、わしの想像だ。さあ仕事だ。仕事にもどろう。

恐ろしさの中にはまって、勇気をふるい起こすため鼻歌を歌おうとした。

さて今度は斧をわきに置き、カンナを手に持ってまきの表面をきれいにしようと 、カンナをかけ始めた。

-やめてくれ! くすぐったくてしょうがない。

今度はチェリー爺やカミナリに打たれたように腰をぬかしてしまい、目をあけてみると、床に座り込んでいた。

顔は鼻のあたままで変わってしまい、いつもなら赤紫(あかむらさき)色なのが驚きのため青緑(あおみどり)色に変わってしまった。

 

 第一回終わり


 

 

 

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